「クラフトと仲間で築く地下鉄道――『異世界クラフトぐらし』のほのぼのスローライフ」

「うまくいったな！」
土の匂いが漂う地下通路で、ミヤビの声が弾んだ。レールの上を試作車両が滑り、仲間たちが笑顔で見守る。その瞬間、ただのクラフト好きの青年が、異世界で街と街をつなぐ大きな夢に近づいたのだ。

『異世界クラフトぐらし〜自由気ままな生産職のほのぼのスローライフ〜』は、立山鈴による“生産職スローライフ”漫画。剣や魔法で戦うのではなく、日々の工夫やものづくりで異世界を切り拓く主人公・ミヤビの姿が描かれる。派手な戦闘が中心の異世界ものが多い中、本作は“生活”に根差した世界づくりを丁寧に描いているのが大きな特徴だ。

舞台は、王都とアンジェルムを結ぶ地下鉄道計画。領主トレンツやギルドの有力者の協力を取り付け、試作車両での走行テストに成功したミヤビたち。だが、ミヤビの規格外の能力に頼りきった仕組みでは継続的な運用が難しいことが判明する。そこで提示された条件が、「付与はカレンに限定する」というものだった。仲間との協力、役割分担、そして信頼関係が試される局面が訪れる。

リズの夢を支えるため、ミヤビは妥協せず奔走する。彼は万能ではない。だからこそ仲間の力を借り、時に意見をぶつけ合いながらも一歩ずつ進んでいく。その過程には、読者が思わず笑顔になる“共同生活”の温かさが宿っている。

カレンの繊細な魔法、シドの実直な助力、トレンツの現実的な提案。登場人物たちのやり取りはどこかユーモラスであり、ほのぼのとした空気感を保ちながら物語を進めていく。クラフト描写も細かく、レールの敷設方法や車両の構造など、まるで本当に技術書を覗いているかのようなリアリティがある。

さらに心を和ませるのが、仲間たちとの日常シーンだ。たとえば、野外で焚き火を囲んで鍋料理を作る場面。鉄鍋で煮込むスープから立ち上る湯気に、仲間たちの笑い声が混じる。こうしたシーンは、戦いや政治の緊張感を和らげ、作品全体に“暮らしの温度”を与えている。クラフトの場面と同じくらい、こうした食卓の描写に癒やされる読者も多いだろう。

レビューでも「読んでいて癒やされる」「ものづくりの描写がリアルで楽しい」と高く評価されており、5.0満点という数字もうなずける。派手さよりも“生活の豊かさ”にフォーカスした点が、多くのファンを引き寄せているのだ。

そして、まずは無料試し読みでその雰囲気を体験できる。いくつかの電子書籍サイトでは第1巻の冒頭が公開されており、クラフトと仲間たちの温かいやり取りをすぐに楽しめる。

無料試し読みができるサイト（ホームページ記載）