「男だってスケベでいていい空間さえあれば、女並みにスケベでいられるのよ!」
そんな一言から始まる本作は、まさに“常識の逆転”を描いた問題作であり、同時に痛烈なコメディでもある。
『貞操逆転世界』は、万太郎による人気シリーズ。男女の貞操観念が完全に逆転した世界を舞台に、主人公・市川と友人の瓜杉が翻弄されながらも日々を生きる姿を描く。読者は笑いながらも、「当たり前」と思っていた価値観に疑問を突きつけられるだろう。
物語は、現代日本とよく似た社会を舞台にしている。だが違うのは、性にまつわる価値観が逆転している点だ。女性が積極的にリードし、男性は守られる立場にある。市川はそんな世界に戸惑いながらも少しずつ順応し、瓜杉は逆転した価値観を満喫している。二人の対比がコントラストを生み、読者に強烈な印象を与える。
第34話から第41話にかけて収録されているのは、まさに“逆転世界”を体感できるエピソードばかりだ。男を「買う」直前に代金不足が発覚する騒動、エロの解禁年齢をめぐる議論、そして「慣れたつもりが全然慣れていない」登場人物たちの滑稽さ。そこには笑いと同時に、現実社会を鏡写しにした風刺が込められている。
本作の魅力は、単なる性的な逆転描写にとどまらず、“社会そのものの価値観”を問い直すことにある。例えば、デートや恋愛における役割分担、お金を支払う側・支払われる側の立場、性への責任感。読者は「もし逆だったら?」と考えさせられ、笑いながらも頭の中が整理されていく。
レビューでも「ギャグとして面白い」「考えさせられる」と評価されており、話題性の高さからSNSでもしばしば取り上げられている。表面的にはコメディだが、その奥には「性と価値観の固定観念をひっくり返す実験」という挑戦が隠されている。
さらに、作品のテンポの良さも魅力のひとつだ。会話劇を中心に進むため、読みやすく、1話ごとにくすっと笑えるオチが用意されている。シリアスさと軽快なテンポが絶妙に混ざり合い、思わずページをめくる手が止まらない。
「異世界転生」や「バトルもの」が主流の昨今において、この作品はまったく異なるアプローチで読者を惹きつける。設定は突飛でありながら、登場人物たちの悩みや行動は現実社会とどこか重なり合い、普遍的なテーマを浮かび上がらせている。
まずは無料試し読みで、その独特な世界観を味わってみてほしい。驚き、笑い、そして考えさせられること間違いなしだ。
無料試し読みができるサイト(ホームページ記載)
- コミックシーモア www.cmoa.jp
- ebookjapan ebookjapan.yahoo.co.jp
- DMMブックス www.dmm.com
- BookLive www.booklive.jp
どのサイトでも冒頭エピソードが公開されており、すぐに“逆転世界”の空気を体験できる。特にコミックシーモアやebookjapanはキャンペーンが多く、まとめ読みするにも適している。
日常の常識を裏返した先に見えるのは、滑稽さか、それとも真実か。
『貞操逆転世界』は、笑いと風刺を巧みに織り交ぜた“価値観逆転コメディ”だ。読み終えた後、あなたもまた「自分にとっての当たり前とは何か」を考え直すことになるだろう。




